酒の飲み方2
昨日は一度に飲む量の恐ろしさを書きました。
今日はその真逆の事を書きます。
ウチの研究室では代々「おちょこマジック」と恐れられていることです。
おちょこは怖い!ってのがもはや研究室の定説となっています。
まず、おちょこは大した量が入っていないのでクッと飲めます。
それから、おちょこで飲むときって何人かで飲んでいるときが多くて
互いに酌をし合うからついつい飲み過ぎる、というか自分のペースでは飲めないし、
皆で何本かのとっくりを共有し、互いに注ぎ合うので自分がどれだけ飲んだのか判断が難しい。
それに、絶対に飲むペースは速くなる、しかも酔って来たら酌のし合いが始まるし、
上下の関係でもあろう事ならもう一方的に注がれまくる事になります。
これが本当に怖いのです。
だから、私はどんな店に行ってもおちょこではなく、
ビールのコップをもらって日本酒を飲みます。
普通の飲み屋で出てくるビールのコップ(横にキリンとかサッポロとか書かれているヤツ)は
一杯入れてほぼ間違いなく1合(180cc)です。
(一合とっくりを頼み、ビールのコップに注ぐとその店の1合がどれくらいか分かります)。
だから、途中で注ぎ足す事をせずに飲めば自分がどれくらい飲んでるかは分かるのです。
前にも書きましたが、酒はすぐには回って来ませんので
そのときの酔い具合ほどアテにならないものはない。
だから、その瞬間に自分がどれだけ飲んでいるのかを頭で知っておく必要があると思います。
普段のペースより速ければ少し落とすし、途中でお茶を挟んでも構わないと思います。
で、おちょこマジックとはこの判断が上述の理由により出来なくなることを指します。
おちょこマジックの亜流として私の体験した事をご紹介しましょう。
母方の親戚は土佐の高知に住んでいます。
親戚のおじさんたちは人の良い「おっちゃん」なのですが、その飲み方が半端ではないのです。
私が遊びにいくと歓迎してくれて、サワチ料理とかいろいろと豪華なもてなしを受けます。
近所に住む親戚も集まって小宴会が繰り広げられます。
飲み物は日本酒で、飲むのはおちょこより少し大きめのぐい飲みです。
さて、そこの飲み方ですが、私が一番の若輩ですが一応は客です。
で、一人のおじさんが私の前に来て「ちからくん、よう来たね」と言って
おもむろに自分の飲んでいるぐい飲みを空けて私に手渡します。
そして、そのぐい飲みに酒を充たしてくれるのですが、
そのぐい飲みはそのおじさんのものですから、ちょっとだけ口を付けて置く訳にはいきません。
もちろん飲み干して相手に返してから返杯をさせて頂きます。
なので、ここだけを見たら私も相手も同じだけ飲んでいます。
ただ、先にも申しましたが、私は一応は客として扱われていますので
その他のおじさんも一人また一人ととっくりとぐい飲みを片手に
私の前に現れて、いきなり自分の酒を飲み干したら笑顔で空になったぐい飲みを差し出して来ます。
もちろん私はそれを受け取って・・・・・、これが一回りした時には
急ピッチでしかもどれだけ飲んだかも分からない状況になっています。
そこで終われば良いのですが、なんせその家に泊まる事になっているので
夜はまだまだ若い時間ですから、もちろんおじさん達の二巡目が始まります。
別に順番があるわけではないので、
となりのおじさんと話をしている最中にも別のおじさんがぐい飲み片手に現れますし
話している最中にもいきなりその話し相手のおじさんが酒を飲み干したと思ったら
にこやかに空になったぐい飲みを私に差し出してくるという時間が繰り広げられます。
もう、短距離走のスピードでマラソンを走っているようなもので、
最初の30分くらいで記憶は完全に飛びます。
また、土佐の男は(女性も)酒がめちゃくちゃ強い!
もう何時にどうやって寝たのかも分からない状況で朝に目覚めます。
いやあ、おちょこマジックを逆手に取られたらもはや出来る事はありません。
親戚の名誉の為に申し添えますが、
彼らは本心から私を歓待してくれているのです。
そして、彼らのぐい飲みを渡す飲み方は、彼ら同士でもやっていますし、
決していじめや嫌がらせではありません。
ただし、土佐に行くときは自分が主役になるのだけは避けた方が良いとは思います。
結婚式の新郎のような役回りをさせられると考えて頂けたら間違いではないでしょう。
なお、高知のいとこの結婚式に出た時の話ですが、
一人当たり一升の日本酒が並んでいました。
本当の話です。
土佐は怖い・・・・。
明日の鍋会は大人の飲み方をしようっと。