睡眠
仕事をしていた頃、私はショートスリーパーとは言わないものの、毎日6時間も寝ることができなかった。たとえ休日であっても5時間ほどの睡眠で目が覚めていたし、何時に寝ても朝の5時までには確実に目覚めていた。だから、アラームで起きることなどほとんどなかった。寝てる時も、何度となく目が覚めては寝ていた。月に2〜3回は夜中の2時頃に目覚めて、なんとか寝ようと足掻くものの、結局は諦めて布団から出て映画を見たりしていた。で、これが普通だと思っていたし、「昨日は12時間寝たわぁ」と言われても、自分にはできないことだから寝溜めができる人のことを信じられなかった。まあ、こういう理由から私は昔から朝型である。
仕事を辞めて1年と8ヶ月が過ぎた。毎日気持ちよく寝られている。寝入りもスムーズだし夜中に目覚めることもない。さすがに俗にいう「寝溜め」はできないが、毎晩ぐっすりと7時間寝られている。仕事をしていた時には気づかないストレスがあったんだろうなと思ってしまう。いまは、気持ちが解放されて快適だ。ソシュールも楽しんで思索できている。私は生物学者なので、ソシュールを考える時も発生進化やゲノムを思い描いている。言語学者や哲学者が大いに議論を積み重ねてきたことに生き物の視点から何かを見出そうとしているのだろうか。ただただ本を読みまくる時もあれば、白紙に色々と書き込みながらひたすらに考えている時もあるが、どの時間も単純に楽しい。「なぜ楽しいのか?」答えは簡単で、嫌になったらそのことを止めて別のことをするからである。逆に言えば、やりたいからやっていることなので、楽しくないはずがない。現役の時にもこういう時間を取る心的余裕があったら、もう少し面白いことができたのかもしれないな。まあ、言うても詮なきことなれど。