飛ぶボール

プロ野球の公式球は大方の予想どおり「飛ぶボール」でしたね。

ただ、私はその「大方の予想」とは違う考え方をしていました。

まさかプロ野球機構が嘘をついているなんて思っていもいなかったもので・・・。

いや、「信じていた」わけではありません。

でもね、数年前ならいざ知らず、

公的機関の嘘の代償の大きさをあらゆるかたちで見せつけられてきたこの時代に

まだこんな幼稚な嘘が通用すると思っている人間がいるとは思わなかったからで、

柔道界もそうですが、危機管理の専門家がいないのか?と不思議に思うわけです。

信じる信じないというはるか以前の段階で、

まさかこんなおろかな嘘がまかり通ると思っているとは・・・・・ということです。

 

で、私が思っていた「飛ぶボール」の正体とは次のようなものです。

ボールの品質検査は一定の高さから一定硬度の板の上にボールを落として

そのはね返る高さが基準以内かどうかを見極めるものだということです。

この検査だと初速度はゼロだし、

はね返る(板に当たる)瞬間の速度だって決して早くないわけで、

だから跳ね上がった高さもせいぜい1メートルってところで、

実際にボールがバットに当たる早さとか、打球がスタンドに入る距離とかとは、

まったく比較対象にならない「基準」のはずです。

ということは、遅い速度で板に当たったボールの跳ね返り距離と、

強烈な圧力でバットに跳ね返されたときの飛距離には

まったく異なる力が働いているように思うわけです。

具体的には、ある高さから自然落下でボールを落とした場合には

板に当たった瞬間のボール自体の変形などはまず絶対に見られないだろうと思います。

表面に近いところの反発だけでボールが跳ね返るように思うのです。

それに比べてバットで叩かれたボールは、ハイスピードカメラの映像を見ると、

平べったくなるくらいまで変形しているわけで、

これはボールの芯の部分のかたちが変わる(ひしゃげる)くらいですから

表面の反発力に加えて芯の部分(コルクだったっけ?)の反発力が加わるという感じでしょう。

で、おそらくこの変形から復元する力が飛距離に大きく影響しているのでしょう。

だから、ボールのかたちが変わらないくらいの圧力で反発したときは

大した飛距離(反発距離?)にはならず、

ボールの芯に近い部分のかたちが変わるくらいの圧力で反発した時には

凄まじい飛距離を生むようなボールって作られると思うのです。

で、今年のプロ野球で使用されたボールがまさにそれだったと思っていたわけです。

そうであれば、「今までと同じ基準でボールを選んでいる」という説明は嘘ではなくなるからです。

でも、こういう小細工すらろうすることなく、

口先の嘘でごまかせると思った愚かさというか浅はかさというか、

いやあ、恐れ入りました。