カネミ油症
標題の議論ではありません。
先日、40年経ってから医療機関でカネミ油症患者だと判明した人が
それまでの治療費の支払いを訴えた裁判で訴えが退けられたことに関する私感です。
「20年の除斥期間が経過しており、原告の損害賠償請求権は消滅している」そうですが、
これがあまりに不可解な法律論のような気がするのです。
だって、たまたま医療機関を受診して判明したんですよ。
判決からいくと自分がカネミ油症患者と判明する前に訴えなければならないこととなる。
そんなことは無理って誰だって分かると思うのですが、
法律ではそうではないということなのでしょうね。
もしそうなら法律に瑕疵があるとしか言えないと個人的に思います。
いかなる難しい法律論を駆使しようとも、
因果関係が判明した時点を基準としなければ理屈としておかしい。
これまで患者本人すらカネミ油症の被害者とは思っておらず
体調の悪さを自分の体の弱さと理解して受診を続けていたわけで、
考えようによっては初期に被害者と認められた人よりも被害は大きいとすら思えます。
まあ、この辺りの判断は私ごときにできるものではありませんが、
それにしても科学の発展によって時間が経ってから判明する事実だってあるわけで、
それを否定するってのは一般的な市民感情から見ても
おそらくは「なんか違う」って感じます。
初めに法律ありきじゃない。
法律は最低限の道徳であって絶対的な規範であってはならないし、
法律こそ道徳的感覚を明示してほしいとすら思います。