発表

修士論文の発表会が14日に行われます。

ウチのイトケンくんも晴れ舞台を迎えるわけです。

 

ところで発表ですが、発表と言えば質疑応答がつきものです。

特に学生の質疑応答には大きく二通りのパターンがあるように感じます。

迎合か反発かです。

「先生」と呼ばれる人に質問されると、

その質問がまったく的を射ていない、あるいはまったくの誤解からのものであっても、

「先生がいうことだから」と考えてなのでしょうが、

「仰せの通りです」と迎合する人が少なからずいます。

また質問にもよりますが、反対意見というか発表内容に異議を唱えるかたちの質問があり、

そのような質問に対して(反抗的な態度で)ムキになって答える人もいます。

私はどちらにしても思考停止に陥っていると感じます。

最初に態度を決めた時点で議論を放棄していることになるからです。

議論とは相手のいうことをよく聞き、こちらの言うことをよく聞いてもらうことから始まります。

相手のいうことをよく聞いたら自分の意見の誤りに気付き、考えが修正されるかも知れません。

相手に丁寧に説明すれば相手がこちらのいうことを深く理解してくれ、

相手が誤解していることに気付いてくれるかも知れません。

あるいは互いに相手の考えからヒントを得ることで

新しいアイデアが生まれることもあるでしょう。

しかし最初に立ち位置を決めてかかるとこれらの可能性を排除することになるわけで、

結局はそこから新しい発見はないということになりかねないのです。

立ち位置が決まるということは、どちらが正しいかという主張のしあいになります。

相手を反駁することだけに主眼がおかれ、大切なものを見失うと感じるのです。

 

昨日も書きましたが、質疑応答によって理解が深まることは多々あります。

本番の発表では聞き逃したり理解が追いつかなかったり、

あるいは思い違いをしていたりしてもそれを修正できずに話は進んで行きます。

それを、的を射た質問と適切な答弁、あるいはそこから始まる議論によって、

「なるほど、そういうことだったのか」となるわけです。

 

イトケンくんにはユーモアとウィットのきいた発表とエレガントな受け答えを期待しましょう。

(なお、カタカナ嫌いの私がユーモア・ウィット・エレガントなどと書く意味はご理解いただけますね?)。