証拠はない!

北陸電力が、石川県にある志賀原発の原子炉直下にある破砕帯を

「活断層であることを示す結果はない」と

原子力規制委員会に報告したそうだ。

これが語られた文脈が分からないのだが、

もし、この話をして安全であると主張しようとするのであれば、

以前から何度も書いているが、

今なお大勢の人たちが苦しんでいるあの事故を引き起こした本質が

いまだに理解されていないのではないのかと思う。

 

証拠がないから動かしても構わないという考え方は

そもそも危機管理の基本からはずれている。

「活断層ではない」との証拠があって初めて動かしても良いとしなければならない。

少しでもその危険性があるかぎり動かしてはならないとするのが危機管理であろう。

最悪の事態を想定しその対処法を考えなければならないといことだ。

「地震なんか起きない」「10メートルを超える津波は来ない」「電源喪失は起こらない」・・・。

そして、「原発事故はおこらない!!!」・・・その結果があの人災だった。

活断層である証拠はないという以前に

活断層ではないという証拠が見つかるまでは止めるという考え方、

あるいはそれでも動かそうとする場合には、

事故の可能性や危険性を徹底的に公開し、

最悪の場合に何が起こるのかを国民に示してもらわなければならない。

それで、国民が納得すれば動かしたらいい。

 

なぜだか分からないが、日本ではBSEは絶対に発生しないとして、

欧米ではその危険性が言われ続けていたにもかかわらず

これまた根拠不明ながら「大丈夫だ」と肉骨粉を牛の飼料に与え続けてきた。

アメリカでは早くから禁止されてきたにもかかわらず、

アメリカの刑務所の囚人から採取した血液を輸入し

血液製剤を作り、そして売り続けてきた。

その結果が薬害エイズだ。

これらの根拠が「臭いものには蓋をする」という意味不明の思考回路である。

危険性が少しでもある限りは認めてはならない。

これが必ず判断の基本にあるべきだろうし、

仮に、何かとの関係で(たとえば電力の需要と供給など)

その危険性と必要性を天秤にかけてどうしてもやらなければならないのであっても、

その危険性は明確に公表されるべきである。

 

この国(お役人)は議論の順番を間違えている。

そう思えて仕方がない。