ゲノムと言語(1)
ゲノムと言語の相同性(相似?)を考えるときに引っかかるところがある。
ゲノムは言語と同様に、情報のみではなく体系であるというのは、
異論もあるのは存じているが、この考え方は私には一貫している。
というか、このレベルから議論を始めたら大変なことになるので
これは暗黙の了解として受け入れた議論となる。
さて、何が引っかかるのかの説明は難しいのだが、
たとえば言語は共通の祖先を持つものもあるが、
その起源から異なるものも少なくないと思えるのに比べて、
ゲノムはすべからく同じ言語で書かれているというところである。
短絡的に見たら、漢字・ひらがな・アルファベットにハングル・アラビアなどなど、
様々な文字により記載されているし、
発音も言語によって様々であることからも分かるかもしれないが、
そういう表面的なものというよりはもう少し本質的なところから考えても
ゲノムとは一つの「言語体系」が受け継がれてきたように思えるところはたくさんある。
言語は「音」というものだけで成立するのに対し、
ゲノムは物質的な基盤を持たなくてはならないために
本質的に多様となるためには基盤となる物質にも変化が求められるはずだから、
多様な言語(ゲノム)を作る機会を失ったとも考えられるのだが、
こう考えてはたして正しいのか?という疑問も浮かんでくるのである。