皇族の話
私ごとき下々の最下層に属する人間が
皇族の話を口にするなど恐れ多いことであることは重々承知しているが、
生物学をかじっているものの戯言だとご寛容願いたい。
いま女性宮家の問題、あるいは女系天皇の問題が取りざたされているようだ。
これに関しては賛否両論が議論されていると聞く。
侃々諤々議論していただきたい。
ただ、一つ感じることは、
この議論の前に「旧宮家」の復活の議論は出て来ないことの不思議である。
勉強不足で誠に申し訳ないのだが、
たしか宮家の大半は敗戦後のGHQによって廃止されたと聞いた覚えがある。
ということは、「押しつけ憲法」議論と同じ話が成立するはずだ。
だったら、もう一度旧宮家に復活していただいたら皇位継承の問題も
確率論的に考えると解決しそうに思うのだ。
さて、ではなぜ門外漢がこのように考えるのかと言えば、
やはり神武天皇以来、神話も含めればどこまで遡れるのだろうか、
とにかく男系で続いてきた天皇の系譜を途絶えさせたくないという思いである。
これは男尊女卑とか言う話ではない。
まあ、本当に神武天皇という方がいらっしゃったのか?
あるいは本当に神話まで話を持ち出して構わないのか
もっと世俗的には、本当に男系で続いてきたのか?について
事実は私には分からない。
ただ、これらをそのまま認めるとするのが天皇家であろうから、
その前提で考えた時に、
どうしても、Y染色体の問題が気にかかるのだ。
これが「生物学をかじっている立場」と前提に書いた理由である。
まあ、生物学者ならではの視点ではあろうが、
男系男子で脈々と受け継がれた血筋には
数千年にも渡って同じY染色体が受け継がれているはずである。
理屈としてこんな論理を建てなくともよいかもしれないが、
これが伝統だし、これが血統だろうという気がする。
それが重要なのだろうと私には思えるのだ。
そもそもX染色体はこれまでに相当入れ替わってきているだろう。
現存する多くの日本人のほとんどの人とどこかで関係していても仕方がないくらいに
X染色体は入れ替わり続けていることだろう。
卵形成の時に二つのX染色体は組み換えを起こして互いに入れ替わることが知られている。
だから天皇家としての血の伝統としてX染色体似よる継続性は希薄であろうと思うのだ。
天皇家という伝統の本質的な部分に、生物学的に見た場合、
Y染色体の継続性が大きな意味を持つのは穿ち過ぎだろうか?
女系天皇を認めたら、Y染色体は皇族以外の血筋となる。
たとえその女性天皇がまさに天皇家の直系子孫だとしても、
染色体としては長きに渡って代々続いてきたものが途絶えることとなりはしないか?
これがこの議論の出発点である。
それで良いとするのであればしかたないが、
一度破れた伝統は二度と取り戻せない。
その点の問題は、維新以降たかが百年程度の我々の世代で変えていいのか?
ここが一番大きな問題に思える。
この意味において、天皇家と同じY染色体を持つ男性の旧皇族を宮家として復帰いただいて、
いざという時に備えてその方々にも皇位継承権を持っていただくというのはいかがなのだろう?
現実にこの制度はマッカーサーが日本の土を踏むまでは続いていたのだから。
そういう「バックアップ」を持った上で、
現在の皇室のつながりをできるだけ維持する努力がなされれば良いと思う。
何度も言う。
これは男性が偉い、女性が偉くないという議論ではない。
だから、女性天皇は即位していただいても問題ないだろうと個人的には思うし、
そこまで否定している人は少ないのではないかと感じる。
現実問題として過去にも女性天皇はいらっしゃったわけだし。
あくまでも生物学を学ぶものとしてY染色体の系統を重んじたい、
これだけ続く家柄は世界中にもないだろうから、
それをなんとか維持できないかと思ってしまうのだ。
おそらくこの議論はことの本質を捉えていないだろうけどね。