昔々

いまではもう思い出すのも難しいくらい前のこと、

どこかに行く用事があって女性と電車に乗り込みました。

ちょうど神戸線・京都線を走る新快速電車のような車両で、

背もたれを前後に動かすことで2人席にも4人席にもできるものでした。

二人だったので、私はさっと電車に乗り込んで二人席を確保しました。

で、彼女を窓際に座らせようとちょっと座席の背もたれをつかんで待ってました。

しかし、ちゃんとそこに座るような意思表示をした待ち方でした。

しかし、ちょっと遅れて乗り込んできた、おそらく中国人の4人連れが

いきなり私が手にかけている背もたれをがたんと倒して

4人席を作って座ろうとするではないですか。

「いやいや、ちょっと待てよ」と私は文句を言いましたが

相手は無言で実力行使をし続けます。

要は、背もたれの押し合いになったのです。

私は、日本人的には正当な主張をしたと思っていますが、

そんなものは関係ないとばかりに無言で背もたれを押し込んできます。

一緒にいた彼女は、「主税くん、もういいから」と争いを避けようとします。

普通の日本人,私には美徳とさえ感じられる日本人の謙虚さ、

あるいは、「私が損をして丸く収まるのなら・・・」っていう気持ち、

まあ「大人の対応」ってヤツなのでしょうか?で、私を一所懸命説得しました。

実際に相手は話し合うという意志はなく、

とにかく私があきらめるまでその背もたれを押し続けるていますので、

こちらは、それに対抗して押し続けるか、

あきらめてその席を譲るかの二者選択しかなかったことになります。

あるいは、実力行使をしてその席を取り返すのかですが、

さすがにそこで喧嘩をするほどの根性はない。

で、お察しの通り、その席は中国人たちのものになりました。

 

いや、こんな話はこれまで忘れていました。

しかし、最近の中国のデモの話を聞くにつけ

中国人気質を物語る逸話として思い起こすようになりました。

日本人の美徳は、相手も同じ価値観を持っていて初めて美徳となるわけで、

相手はおそらく譲ってもらった、だから次は自分が譲らなければなんて絶対に考えていない。

なんだか虚しいなあと思う今日この頃ですね。