投球回数
5勝0敗と12勝13敗では、どちらのピッチャーが優秀と評価されるのか?私のような素人には勝ち負けの差が重要だと思うので、間違いなく5勝0敗のピッチャーの方が優秀だと思ってしまう。でも、野球を知っている人は12勝13敗のピッチャーの方が優秀だと言う。その理由は投球回数である。
日本プロ野球の場合、年間の試合数は143試合 雨天コールドもあろうし延長戦もあるだろうから正確な数字は出せないが、年間平均で1300イニング程度はこなさなければならない。負け試合であっても投げ出すわけにはいかない。
先発ピッチャーが週に1試合登板するとして年間24試合前後、早々にノックアウトされる場合もあるだろうが完投することも(最近はほとんど見ないが)あるだろう。平均で1試合5イニングを投げるとして120イニング。先発6人で1シーズンを回すとして720イニングとなるから、残りの580イニングを誰かが投げなければならない。抑えピッチャーが2イニングも3イニングも投げることはあまり見ないような気がするので、平均して1試合に1イニング、年間平均して50試合に登板するとして、580/50=11.6人の抑えピッチャーがいないといけないこととなる。先発が6人と計算しているので合わせて16〜7人のピッチャーがいる必要となる。ただ、先発ローテーションにきっちり入り中6日で登板して平均で5イニングを投げるピッチャーがそう何人もいるはずはない。リリーフピッチャーにしても全員が年間50試合登板って現実的ではないだろうし、実際の数字はもっと少ないのは間違いない。何よりも、一軍登録選手数は29名で、投手は平均して11〜13人ということなので、上の計算通りの投手数は到底そろわない。先発投手が6人としたら最大でも7人のブルペンで残りのイニングをこなさなければならないとすれば、580÷7≒83イニングを一人の投手がこなす必要が出てくる。毎試合1イニングであれば年間83試合に登板しなければならないし、年間50試合登板だとしたら1と2/3イニングを投げなければならない計算となる。勝ち試合であろうが負け試合であろうが、これだけの数の投手が投げなければ試合が成立しないわけだ。もちろん、「勝利の方程式」と呼ばれる投手陣を毎試合平均的に登板させることはあり得ないだろう。明らかな負け試合には起用しないのが普通である。とすれば、余計に「敗戦処理」の投手の頭数が必要となってくる。
だから、たまに投げて勝つピッチャーよりも、ローテーションに入って多くのイニングを投げてくれる方がチームにとってはありがたいそうだ。むかし阪神タイガースに井川というピッチャーがいたが、一番最初に彼の評判を聞いたのは、「年間200イニングを投げる」だった。ピッチャーが一人で200イニングを投げてくれたら残りのピッチャー全員で1100イニング投げれば済むからかなり楽だろうと思う。
こんな見方もあるんだなとと少し感心したので少し書いてみたが、もしかしたら常識だったかもしれないのかな???