ボランティア 2

なぜ中学生を教えようと思ったのか?それは、「ちょっと思うところがあったから」である。

私は高校生の理科教育について関心を持っている。研修会や授業などをさせてもらったりして、高校の先生と話す機会もある。近年、文科省から「論理的思考を育むように」と求められるそうだが、一部の先生の意見として「そんなことを高校教育に求められても無理だ」らしい。まあ、詳細を知らないで無責任なのだが、上辺の議論を聞く限りは私もそう思う。論理的に考える素地を教えられないまま高校生になった子供の論理力を高校教育で伸ばすことができるのか?私も答えはNO!である。この欄では何度も書いているように、まず小学生から表現力を伸ばす必要がある。具体的には作文能力である。思考力は言語力に依存する。母語をしっかり話せない、論理的な表現ができない、そんな子供が高校生になって、いきなり先生から「論理的に考えろ」と言われてできるとは到底思えない。

これまでは、大学や大学院の教育に携わってきた。ぎりぎり高校生とも触れ合うことができてきた。しかし、小中学生の教育に関わった経験がない。だから、小学生はさすがに無理があるとしても、いまの中学生の学習状況を見てみたいと思った。私にできることであれば、中学生の論理力を上げるお手伝いをさせていただきたいと思った。論理力を授けるのは無理でも、中学生の実情を目の当たりにしたいと思った。そんなことをおもっていたときにボランティア募集の掲示を見た。だから、やってみようと思った。ただし、教育には技術が必要である。特に学年が下がれば下がるほど「教える技量」が求められる。だから、私ごときにできるとも思わない。いつでも首を切られる覚悟はできている。迷惑だけはかけないようにだけは気をつけようと思う。

いつも言うことだが、「理科離れ」は「論理離れ」だと思っている。小中学校で正しく論理を組み立てる訓練をしないまま高校の数学や理科を理解するなんてできるはずがない。論理的に考える、それって理科だけでなく、あらゆる行動の原点ではないだろうか。