今年の共通テスト

ちょっと時期を逸したけれど、先日友人と標題のことを話していたので少し書いておこう。

昨年まで、生物の問題は考えさせる問題が多く難しかったと聞く。今年は易しくなったようだ。以前にも書いたように、難しいままでもう少し耐えて欲しかった。地学は学会をあげて問題を優しくして地学を履修する生徒の数を上げようとしていると高校の先生方から聞いているが、そもそも高校の授業から地学が減っているのは、地学を専門として教える教員の数が絶対的に少ないことが最も大きな原因ではないかと思うわけで、問題を優しくするような付け焼き刃でどうなるものでもないと思う。さらには、この10年ほどの生物を専攻する大学生の思考力が極端に低下していると感じるので、問題を簡単にして地学を履修する生徒の数を増やしたからといって、そんな若い人が地学を研究する分野に入ってきてもらって果たして意味があるのか?という疑問を強く持つ。同じ意味において、もう少し考える問題を出題し続けてほしかった。これまでは暗記を基本とする学習しかしてこなかったからいまは戸惑いもあるだろうが、「考えさせる問題」のパターンにも限りはある。一定の考え方のレパートリーが一通り出そろえば、現在のように「点数が取れない」ことにはならないと思う。さらには、この思考のパターンが理科を考える上で極めて重要だと考える。こういう思考パターンを習得することで理科の理解力は格段に上がるし、大学以降の研究の基礎力もつくと信じる。理科ばなれが叫ばれて久しいが、理科離れは論理ばなれであり、論理的思考能力がつけば理科離れはなくなると思う。現場の先生方が論理力を鍛えようと頑張っても、実際の入試で暗記力しか問われなければ生徒はその勉強しかしないだろう。だからこそ、共通テストにはあと少し踏ん張って欲しかったと本当に思う。