共通テスト

今年の共通テストに出題された生物の問題は難しかったらしい。誤植による「全員正解」がなければ平均点が40点を下回っていたそうだ。「生物」にとって問題なのは、絶対的な点数の低さではなく他の3教科と比べて相対的に点数が低いところだという。「点数が取れないのなら生物をやめて他の3教科の勉強をする」となって、結果として生物に関心を持つ生徒が少なくなることが大問題のようだ。そういえば、「地学は、学会をあげて点数を取りやすいように地学の問題を作っている」と高校の先生から聞いた。

さて個人的な考えだが、いまの生物の問題の出し方はその方向としては間違っていないと思っている。これまではただ丸暗記する学問だったことから、こういう問題に慣れていないということで点数が取れないのだろうが、この手の問題のレパートリーもそれほど多くはあるまい。安易に点数が取りやすいからという理由で生物の履修者を増やすことが正しいとは思えないのだ。生命現象の中に不思議を見出し、それを実験的手法によって解いていくことにこそ生物の面白さがあるのだろうと感じている。今は過渡期。こういう問題を考えるのに慣れたら生物の本当の面白さが理解されるのではなかろうか。そのためには、先生方もそういう問題を作っていかなくてはならないし、そういう問題にアプローチできる教え方をしなくてはならない。生徒も先生も、いま大きな転換点に来ているのかもしれないな。