2月7日は実験室見学ツアーです!
今回のツアーは、今年度の成果を皆様にご報告申し上げるという趣旨で開催されます。
学生さんやスタッフがそれぞれの成果をご紹介致します。
これまでは橋本の話くらいしかお聞き頂けなかったのですが
今回は実際に実験をし,論文を書いている若い人たちの研究をじっくりご覧頂けます。
ということは、橋本は一切なにも話をしません。
その辺りをウロウロしているだけです。
だから逆に時間はあります。
ご意見などございましたら当日に話しかけてください。
まあ立ち話もなんですからお茶でも飲みながらゆっくり話しましょう
ってことになるかもしれませんね。
午前中の村戸さんのお話にでてきた耳慣れない「Xhairy2」。家に帰ってから頂いた冊子「生きものの形がどのようにできあがるか?」をめくっていたら、「Xhairy2は積極的にオーガナイザー(背側)の形成を誘導しているのではなく、腹側に特異的な遺伝子群の発現を積極的に止めることによって結果として確立されている」と書かれてあり、「生きものかたちづくり=遺伝子による積極的な誘導」というイメージを漠然ともっていた者にとってはかなり衝撃的でした。とくにこの遺伝子が担っている「ならないようにする」という機能。思わず以前何かの本で読んだ、「歴史書は事件によって構成されるが、実際の歴史はむしろ事件にならないようにしようとする多くの人々の努力によって構成されている」といった内容の一節を思い出してしまいました。
「生きものの〜」はまだ最初の方しか読んでいませんが、「虚心坦懐に取り組む」とはまさにこうした姿勢であり、こうしたことの積み重ねが大発見につながるんだろうなとつくづく感じてしまいました。それにそもそも「背側とは腹側でない領域であり、頭部とは体幹部でない領域のことである」という考え方は、「ア・プリオリに存在するものは一切ない」といった前提がなければ出てこないですよね。
ところでもしXhairy2が機能せず、腹側に特異的な遺伝子群が発現してしまったら卵はどうなるのでしょうか。
ゆぐちさん,コメントありがとうございます.
「もしXhairy2が機能せず、腹側に特異的な遺伝子群が発現してしまったら卵はどうなるの?」というご質問にお答えします.
結論からいいますと,背腹のパターンには,目立った変化はありません.おそらく,オーガナイザーで働く遺伝子はたくさんあって,それぞれ機能が異なるものありますが,同じような機能をもったものもまた,たくさんあるからでしょう.まさに「むしろ事件にならないようにしようとする多くの人々の努力」の賜物であるとも言えます.研究をして論文を書く分にはちょっと残念な結果ではあるのですが,生きものが生きものとして成立するためには,こういった,ちょっと失敗しても全体としてカバーできる,というシステムはとても大切であると思います.
ただし,もう少し発生が進むと,脳の一部の視床下部の形成に影響がでてきます.このメカニズムはいかにも発生らしくて面白いところなので,「生きものの〜」を是非読み進めて頂ければと思います.