脊椎動物の原腸形成とは?
ツメガエルとイモリの解析から、
両生類の原腸形成機構はこういうものだろうと分かったように思う。
さまざまな動物の原腸形成運動の絵を表から見たり裏から見たり断面で見たりして考えている。
同じ切り口で見ていたら気付かなかったことも、
動物によって異なる切り口で比べ直したら「あれ、似てるぞ」ってことにもなるように思う。
その絵を見ていると原索動物に見えてくるようになった。
元々、脊椎動物と原索動物はまったく異なるものだという信念にも似た考えだったのだが、
両者は、少なくとも原腸形成過程を考える時にはかなり保存されているのではないかと
今では考えるようになっている。
ある瞬間の信念がいかにもろいものか、
そしてそれが覆される瞬間がいかに気持ちいいものか、
これこそが科学の醍醐味とすら思う。
このように原索動物と両生類を比較し、これを脊椎動物の原腸形成運動の原型だと考えると、
「サカナはこう考えた方が良いのではないか」と思うようになってきた。
で、サカナをそのように考えると、
同じ盤割をするトリとの相同性と相違性が見えてきたように感じる。
となると、必然的に「トリをこう考えるとすれば哺乳類はこう考えるべきだろう」となる。
すべては「風が吹けば桶屋は儲かる」式の論理展開であるのだが、
まるで創造主の存在を感じ取れたかのように、
「このような見方をすればすべての説明がつく」ように思えてきた。
進化はゲノムの変異の結果であることは間違いないのだろうが、
ゲノムの変異が自由に表現されることはあり得ない。
発生現象の拘束が進化に影響していることはおそらく間違いないだろう。
発生拘束とはたとえば、「こういう変異なら受け入れ可能である」ということであり、
その変異が「発生現象の本質を外さない」ところに落ち着くことなのだろうと思う。
逆に言えば「本質を外さない限りなんでもあり」なのかもしれない。
「トリの原腸形成過程がこのような拘束を受けたからこそ羊膜類が誕生したのではないか?」といった
非難囂々となるだろうことまでなんとなく考えている。
思考・思索は楽しい。
これが私の研究への動機づけになっているのは間違いないところだろうな。