狂った果実
石原裕次郎主演の映画である。
初めて見た。
1時間半ないくらいの短い映画だったが
これはこの長さがちょうど良いと感じる。
裕次郎が、津川が、岡田真澄が、いやあ若い、
そして格好いい。
ヌーベルバーグに多大な影響を与えたと言われているが、
たしかにドロンの太陽がいっぱいをも彷彿とさせる映画である。
というか、狂った果実の方が断然上だとすら感じる。
太陽がいっぱいはドロンの美しさと音楽の素晴らしさのみで
映画自体は陳腐なものだと思う。
狂った果実は、セリフ回しは日本映画的だが、
そのスピード感なんかはフランス映画っぽいなあと思ってみていたのだが、
いや、フランス映画がこれに影響を受けたのかもしれないと思う。
名作・駄作を見極める眼など持ち合わせていないが
個人的にはラストに唸ってしまった。
ラストの衝撃ってのではない。
あのボートを操縦し続ける津川の表情、
それをただただ撮り続けたエンディングに唸ったのだ。
ストーリー自体は、あの頃は衝撃だっただろうが、
これでもかと変わった結末を出し続けている現代においては
さして新しさを感じることはない(当たり前だな)。