学生

先日の「土足」のコラムに似通った内容です。

 

私は「体育会系」という制度は嫌いではありません。

というか、この制度に日本の伝統文化が宿っているとすら思っていますが、

おそらくはもうこれに賛同して下さる人はほとんどいないことでしょう。

なぜなら「体育会系」という言葉はすでに批判の文脈でしか語られないし、

この言葉を指して笑いの対象にしかしないということからも明確な気がします。

もちろん、無駄に下級生をいじめたり上級生が威張ったりするという

批判されるしかない一面もあると思いますが、

でも、先輩や目上の人を重んじること自体は、

目上の人をfirst nameで”Hey, John!”と呼ぶアメリカの文化よりも好みです。

 

だから、体育会計という言葉をバカにする傾向に抵抗を感じるのですが、

言葉の問題というよりも何やら根深い問題を最近感じます。

私が高校生だった頃、例えばクラブ活動で電車などの公共交通機関に乗る時には

他の人の迷惑にならないようにキツく言われました。

座席に座らないのはもちろんのこと、

大声で話さないとか大きな荷物もできるだけまとめて一カ所に置くとか

立っている場合にも他人の迷惑にならないように気をつけました。

それは、先輩はもちろんのこと同級生同士でも気をつけ合ったものですし、

なにも私たちだけではなく文科系も含めて高校の部活動ってのは

それが当たり前だったと思います。

しかし、最近では部活動終わりのダレた態度で

大きくまたを開いて座席を占有する高校生を頻繁に目にします。

また、最近は私たちの頃よりお金持ちになってきたのでしょうか、

「○○高校野球部」とか書いてあるお揃いのカバンを持ち、

クラブ名の下には綺麗に自分の名前が入っていますので、

高校名・クラブ名・個人名を晒しながら傍若無人な立ち居振る舞いをしています。

しかも何かを食べながら大声で話をし、

時には仲間を蹴ったり叩いたりと暴れてとなりの客にぶつかったり。

それも、どうも上級生がいるところでもやっている、

というか、上級生が悪い意味の「体育会系」の見本のような態度を取る。

上級生が率先して後輩を茶化し、それに乗って後輩がふざけるわけで、

それで周囲の人の迷惑になっていることに気が付かない。

真面目な話、まったく信じられません。

 

ところで、先日、全国大会かなにかでしょうか、関東の高校の一団を電車で見かけました。

彼らは上級生が下級生を引き締め、

遠い地に降り立ってともすれば遠足気分になりがちな後輩に

適切な指示を出しておりました。

他の客が降りて空いた座席に他人をかき分けるように座ろうとした後輩を叱り、

荷物をまとめ若者らしく直立で電車に乗っていました。

毎日関西のだらしない高校生ばかりを見ているので

気持ちよくもあり、そして恥ずかしくもありました。

言葉の意味の変化が先なのか、

それとも行動が先に堕落してそれが言葉に乗り移ったのかわかりませんが、

なんともイヤな世の中、絶望的な世の中になったものだと思います。

 

敬語を話せない若者が増えているそうです。

面接など、明らかに敬語で話すべき場所でも「タメグチ」をきく。

もちろんそういう若者が目上の人を敬うなんてあり得ません。

その言葉があるからその感情が芽生えるし、

その感情が芽生える分化だからその言葉が生まれてきたわけで、

気持ちだけが先に存在するなんてことはあり得ない。

よく、敬う気持ちを持っていれば言葉なんて関係ないって言う奴がいますが、

それは明確に間違えていると思います。

だから「体育会系」という言葉の意味が、

良い意味での日本の伝統文化に戻って欲しいと心から思います。

 

何にしても高校も、校名入りの荷物を持たせている以上、

部活動の成績よりも先に指導することがあるんじゃないのか?って思います。

まあ「最近の若者は」という決まり言葉を言う年になっただけなのかも知れません。