カレー
最近、すじ肉のトマト煮込みに凝っています。
凝っているというのは実は正しくはないでしょう。
本欄でも何度か書いていますが、
トマトジュースで大量の野菜を煮溶かしたソースで
すじ肉のコラーゲンが柔らかくなるまで煮込むと美味しいのですが、
そうやってできたすじ肉をタッパ(注1)に入れて冷蔵庫に入れると、
またコラーゲンがとけ込んでさらに美味しくなったソースが残ります。
そこに、また大量に買ってきたすじ肉を投入して煮込むことを繰り返しているのです。
おでんも、最初は汁も美味しくありませんが、
大根や練り物、すじ肉などからうまみが溶け出してきて汁は一気に美味くなります。
しかし、その時には具が消費されて汁だけが残る。
それではもったいないと、またしても大根やゴボ天などを買ってきて汁に入れる。
そうすると今度は汁が減ってきて、また鰹と昆布でとった出汁を加える・・・
これを繰り返していたらいつまで経ってもおでんの呪縛から開放されない。
まあ、これに近い感覚だとご理解ください。
すじ肉は一回に2キロ以上買います。
でも、買ってきた2キロ全部を使うわけではありません。
すじ肉といって売られているのは、肉を掃除したゴミの部分であり、
そこにはスジの部分に加えて脂肪だったり赤身の肉だったりが付着しています。
赤身はそのまま煮込みとして食べても美味しいので問題はありませんが、
脂肪はちょっと問題ありということなので、
美味しいトマト煮込みを作るには買ってきたすじ肉の掃除をしなきゃならないわけです。
だから、まあ煮込みに使うのは半分の1キロくらいでしょうか。
掃除と言っても、スジ以外を捨てるわけではありません。
それは水で煮込んでとろとろにします。
すると、上の方に厚さにして1センチくらいの脂肪分の層が浮いてきますので
鍋ごと冷蔵庫に入れて一晩置くと脂肪が固まってバリバリの固形物として除去できるのです。
そうしたら脂のないおいしいスープになります。
これにタマネギなどの野菜を入れてさらに煮込みカレーにします。
私はカレー粉しか使ったことがなく、普段はSBのカレー粉(業務用)を常備しています。
それにクローブやクミン、コリアンダーシードやローズマリー加え、
最後にニンニクと生姜で味を整えカレーになるのですが、
今回はすぐに食べたくなったので簡単に市販のカレールーを買ってみました。
たぶん、私の記憶では市販のルーを買ったのは初めてだと思います。
「さわやかな大人の辛さ」として有名(?)なアレを買いました。
結果は、う〜〜〜ん、美味しくありません。
なんでだろう???と考えていたら、遠いどこかにこの味の記憶がよみがえってきました。
学生の頃に瀬戸内に浮かぶ小島にある臨海実験所で食べたカレー。
その頃、その実験所には上水道がとおっておらず、
海水の塩分をたっぷり含んだ井戸水を飲料に使っていました。
で、そこにいた学生が夕食に作ったのがカレーライス。
そうだ、カレーの香辛料ではっきり分からなかったけど、これは塩辛いんだと気付きました。
市販のルーを使った経験がなかったもので、
普段のカレーを作る要領でスジと野菜を煮込んだものにはおいしい味がついていました。
そこにカレー粉を入れるとカレーになるって算段だったわけです。
しかし、どうも市販のルーには塩味も入っていて、
肉と野菜を水で煮込んだところにルーを入れるだけで美味しくできるみたいです。
だから、私のカレーは結果として塩分過多となり
美味しくならなかったということなのでしょう。
なんと言うか、奥が深いなあと感じさせられる経験でした。
まだたくさん残っていますので、次回は牛乳で割って食べてみます。
注1タッパ:タッパーウェアのことを私はこう呼びます。
数え方は1タッパ2タッパ・・・です。