梅雨

梅雨入りしています。

お天気がつづいたり、突然どっさり降ったりとちょっとややこしい天気ですね。

 

 

『梅雨あるある』といえば『天然パー保有者は「髪がモワッとなって」困る』でしょうね。

あの手この手で、なんとか「モワッとボワッと」ならないように気を使いますが、うまくいったためしがない。

 

先日、妹が『吉瀬美智子』の髪型にしてもらうんだ!と

意気込んで散髪屋さんに出かけて行ったんですが、帰ってきた彼女はどう見ても『榊原郁恵』でした。

これも、梅雨(湿気)のなせる技かもしれません。

彼女は以前も『米倉涼子(交渉人の時ぐらいの)』にしてもらうと出かけていったら、

『IKKOさん』で帰ってきたりするので、彼女の顔だちになにか秘密があるのかもしれませんが。

なかなかのミラクルフェイスの持ち主です。

 

 

 

 

 

先日、曇り空の中を家の近所の商店街まで自転車で買物に出かけました。

傘を持っていたので、急な雨がきても万全な体制で行ったつもりしたが、

買物を終えて帰る途中に、豪雨とめちゃくちゃな突風に会い、

傘はさしてみるものの横殴りの雨で全身びちゃびちゃ、風であおられ自転車もこげないので、

通りすがりの民家の軒下に避難させていただきました。

 

 

しばらくしてもまったく雨の勢いは衰えず、

体は冷えるし散々な気分ではやく雨がおさまらないかと空を見上げたら、

民家の向かいに建つマンションの三階廊下あたりで、傘を振り乱して踊っている女性と目が合いました。

 

 

 

 

反射的に「なんか見たらあかん」ような気がして、さっと視線を外したのですが、

外した後、より激しく踊る気配を感じたので、

 

 

 

意を決してもう一度マンションを見上げて彼女を見ると、

彼女は満面の笑みでうなずき、

高く掲げた傘を指差し、声は出さずに口の動きとジェスチャーのみで

『カ・サ・カ・ソ・カ?』と伝えてきました。

 

 

 

『カサカソカ』

『かさ、かそか』

『傘、貸そか?』

 

 

え!

なんといい人!

 

 

あまりの突然のやさしさに、びっくりするやらうれしいやらで、

一瞬だけ「ぽぽぽーん」とした間をあけてしましましたが、

 

 

『傘はもってるんだけど、風がひどくて・・・』

『ほんまにお気遣いいただいてありがとうございます!』

『最初、無視しちゃんてごめんなさい』

 

 

を、彼女を見習って、口の動きとジェスチャーのみで伝えました。

最後に手をわせてお辞儀をしたら、

彼女は『了解、気をつけて帰ってね』の笑顔で手をふってくれて、家の中に戻られました。

口の動きとジェスチャーだけでも、案外伝わるものなんですね。

 

 

しばらく「ああ、いい人だなあ。ああいう人もいるんだな。」と

うれしい気持ちにひたっていたのですが、

そういえば、前にもこんなことあったなあと。

ずいぶん前の記憶を思い出しました。

 

 

学生の時に、突然の土砂降りに会い、小走りで屋根のある場所まで避難していたら、

通りすがりのサラリーマン風のおじさんに

 

 

「しばらくやまないだろうから、この傘を使いなさい。」と

ご自分がさしていた傘を私に差し出してくれました。

 

 

突然の申し出はうれしかったのですが、

おじさんは傘をもう一本持ってるようにも見えなかったので

「ありがとうございます。でも、おじさんが濡れてしまうし・・・」とモゴモゴしてたら、

 

 

おじさんはハハハと笑って

「大丈夫、おじさんには心の傘があるから!」

 

 

心の傘っ!

 

 

おじさんは、絶句した私の鞄に傘を引っ掛け、颯爽と歩いて行ってしまわれました。

おじさんの灰色の背広が、雨に打たれて真っ黒になっていく様を見送りながら、

「心の傘って・・・」と脱力しました。

 

 

その後しばらく『心の傘発言』に対してなんと答えるのがベストなのか、

気の利いた答えはなんだったのか、

はたして傘を受け取って大丈夫だったのか(私は非常に助かりましたが)、

いろいろ考えてみたのですが、答えは出ないままでした。

 

 

あの時の私の年と同じだけ時間が経過した今の自分も、

再び『心の傘発言』の返しを考えてみたのですが、

「気の利いた答え」は出ませんでした。

 

 

でもなあ、傘を受け取ったんだから、とりあえずおじさんの背中に向かって大きな声で

「ありがとうございました!」は言わなあかんかったよなあ、と

後悔と反省の気持ちだけが残っております。