放射線障害
今日は鍋の会!
朝から仕込みをがんばっています。
ところで知り合いから放射線障害について聞かれました。
ただ、私はまったくこの分野の専門ではなく、
また、この辺りのことをほんの少しだけ勉強したのは学部学生の頃で、
ほぼ30年が経過し、その知識のほとんどは私の記憶から消滅しています。
また、その時に学んだ知識自体も今日のものとはかなり違っていると思います。
だから本当に一般論であり、かなり間違っている可能性もありますが、
生物学を学んでいるから少しは一般の方より知識はあるのかもしれないと思い、
恥ずかしながら私が友人に答えた内容を以下に書いておきます。
まず、放射線障害は分裂する細胞に起きるということです。
だから成人には活発に分裂する細胞がそれほどいないので
放射線による障害が起こりにくいはずです。
成人では、俗に幹細胞と呼ばれる細胞群、
有名なところで血液幹細胞などが影響を受けます。
だから、高い線量を被爆したら例えば白血病を発症したりします。
また、白血病患者への骨髄移植の際には放射線で血液幹細胞を死滅させ、
その後に他の人の血液幹細胞を移植する方法がとられます。
これは、幹細胞を死滅させる放射線量と普通の体細胞では
耐えられる線量がかなり違うことに基づく治療法ということで、
だから、がんの治療にも放射線が用いられるのです。
成人の体細胞はほとんど分裂しませんが、
がん細胞は、その定義からしても分裂し続ける細胞なので
放射線が有効だということです。
おそらく、乳幼児や成長期の子供と、
成長が止まった大人とでは放射線に対する影響が違うはずです。
また、もう一つ注意すべきことは、
特に男性の場合にこれから子供を作る人とそうでない人でも
放射線量を違うレベルで考えなければならないでしょう。
それは、男性はずっと精子を作り続けている訳で、
精子を作る時には盛んに細胞分裂をしていることとなりますから放射線の影響を受けやすくなり、
その影響が子孫に伝わるということです。
だから、東京消防局や東電の社員の方々で20代30代の若者を見かけると胸が痛みます。
昨日、漏れ出した水にくるぶしまで浸かって作業をしていた作業員2名が
高濃度の放射線を浴びるという事故が起きましたが、
その被爆した作業員の年齢が20代と30代だと報道されていました。
差別という意味ではなく、もう子づくりも終了した年代の人が代わってあげればいいのにと
非常に無責任ながらも感じます。
それから、よほど大量の放射線を浴びない限り
放射線障害の影響はすぐに現れるものではありません。
影響として普通に考えられるのはガンの発症率の増加です。
これも確率論的な話にしかならず、
どれだけ被爆したらどれだけガンが増えるのか?ということは
あくまでも被爆量とガンの発症率を統計的に見ることでしかいえません。
薬物の致死量のような考え方とはまったく異なるものです。
だから高い線量を被爆しても何も起こらない人もいるし、
それこそレントゲン程度の被曝でガンになる人もいます。
いま盛んに食べ物の放射能汚染が言われていますが、
それがなぜ問題かといえばトータルの被爆線量が多くなるからです。
外部被曝ならその時の被曝だけで済みます。
だからよく言われている「1時間あたり○○マイクロシーベルト」を受けるだけです。
しかも、ガンマ線は防げませんが、弱い放射線なら水の膜一枚あれば防げるものもあるので、
体の中まで影響が及びにくい可能性もある。
それに比べて放射能を体内に取り込んだら
それが排泄されるまでの間は直接的に被曝を受け続けるということで、
これが恐ろしいのです。
で、食べ物に関してですが、
今のところはおそらく表面の汚染で済んでいるはずなので、
例えばほうれん草などは洗ってから茹でれば問題ないと思います。
ただ、今後は汚染された土壌から植物が放射性物質を取り込み
それを蓄積するという状況が起き得ます。
そうしたら、外部に付着している放射性物質のようには洗い流せないので、
もちろん汚染の度合いにもよりますがかなり深刻な感じはします。
もう一つ言える事は、放射線の影響は蓄積的であるということです。
放射線の影響はDNAに刻まれますので消えることはありません。
いったん刻まれた傷は治ることはないのです。
だから、レントゲンはできるだけ受けない方がいい。
ただ、誤解して頂きたくないのは、
発見されるであろう病気に比べて被曝の影響は無視できると考えて
レントゲン検診は行なわれるということであり、
その意味は十分にあるということです。
でも、当たり前ですが無用なレントゲン撮影は可能な限り避けた方がいい。
歯医者にかかったらすべての歯のレントゲンを撮られますが、
違う歯医者にかかる時には前の歯医者の写真を借りて持って行くに越したことはありません。
口の中全体をとるレントゲン(パノラマというらしい)は収益が大きいので
大した意味もなく撮影をするように持って行く傾向が高いと知り合いの歯科医はいいます。
それ以外には、代用できる場合にはCTではなくMRI診断を受けるとか、
少し注意をすれば被曝量を抑えることはできます。
「安全である」というのはあくまでも全体としてみた場合に
ガンの発症率は無視できるという意味であって、
被曝量に応じて確率的にガンの発症率が上がるのは当然だということです。
続きはまたいつか。