ふと思ったら

酒を飲みながら、何となくこれから先のことを考えていた。

退職して間もなく一年。この生活は性に合っているから、このスタイルを変えるつもりは、今のところはない。で、これから先、これまで知り合ったほとんどの人と会うことはないのかなとふと思った。客員教授をさせていただいているし、少しだけ研究に関わらせてもらっているので、都立大の人たちとはまだ数回は会うことになるだろう。研究について考える唯一の時間だし、自分の数少ない経験が人さまのお役に立てる稀な時間だから楽しい。

現役を退いたので新しいデータを持っているわけでもなく、論文から新しい知識を入れることもできていないので、大学や研究機関からセミナーなどに呼ばれることはもうないだろう。先日は遺伝研の仁木さんのところへ「研究打ち合わせ」に行ったが、これも都立大への道中に立ち寄ることができただけのこと。今後は正式に(交通宿泊費や謝金を支払ってもらって)招待されることはないと思う。だから、研究者仲間とはもう会うことはないだろうと思っている。

児童・生徒・学生時代の知り合いとの連絡先を全く知らないのでこれから先に会う機会も想像できないし・・・などと考えたら、ひとりの時間が好きというより、人と会っていると疲れることが多いので、少しでも私のことを知っている人は連絡するのに躊躇するらしいし、私から他人に連絡することはまあないので誰とも会うことなく、今のように読書や映画鑑賞などで時間をゆっくり過ごす老後となるのだろうな。西田幾多郎ではないが散歩しながらの妄想も好きだし、まずはあと十年、ゆっくりのんびり生きていこう。