DNAは情報か?

自己複製する(できる)こと自体を情報として取り扱うことに意義があるかもしれない。

だから、前回の議論で、

1・自己複製するためにはそのための装置が必要である、

2・その装置を作るための「情報」をDNAは持っていなければならない、

3・これを満たす意味において自己複製するDNAとは情報である、

と仮に考えた。

 

ではこの情報とは、自己複製に必要な最低限のDNAを指すのだろうか?

それとも自己複製する(できる)DNAに依存して自己複製されるDNAも含まれるのだろうか?

この質問の意味とは、「自己複製という事象の成立」を「情報の成立」とするか否かである。

端的に言えばベクターの最小配列だけが情報なのか?

ベクターに乗っている「意味のない配列」も情報とするのか?である。

こんなものは偉い先生にどっちかに決めてもらってから議論を始める方が楽であるのだが、

そうしたとしても、同じ議論をおそらく議論の途中で振り返らねばならないだろう。

 

わたしは、地球上に自己複製の体系を生じたとき情報という概念が生じたとしたい。

だからベクター上に乗っている「意味のない」配列も情報とするのである。

もちろん「意味のない」配列自体も変異を受け続けるうちに

何らかの機能的意味を獲得することもあろうが、

この意味で情報と言っているのではなく、

自己複製をしているという事実そのものが情報であるとするのである。

もっと極論すれば、ゲノムの配列中に除いても構わない配列があるだろうが、

その「除いても構わない配列」もゲノムとするという意味であり、

ゲノムとは、その生きものを形づくるための最小のものとは考えない立場を取る。

まあ、この議論はもはや論理的ではないから

反対意見があってもそれはそのまま許容するしかないのだが、

この議論により、(半永久的に)自己複製するものが生じた時点で

地球上に情報が出現したと考えるというひとつの定義のようなものとご容赦いただきたい。

(実はここの議論はもっと丁寧にする必要があると思うのだが、

この議論だけでとてつもない労力を使うのでいまはパスさせて下さい)。