地獄絵

小さい頃に地獄絵を見た。

なんとも恐ろしいものだった。

その恐ろしさがどこにあるのか考えると、

針の山や血の池などの恐ろしさではなく

逃げ道のなさだったように思う。

様々な拷問を受け、体が八つ裂きになったあとに、

また元通りになって同じ拷問を受けさせられるところに

苦難から逃れるすべのない絶望感を感じるのだ。

 

自殺をする人には様々な原因や理由があると思う。

だから私ごときが軽々に語ることは許されないだろう。

しかし、自分自身が何となく思うところでは、

現実の苦難から逃れるすべとして自殺を選ぶかもしれない。

少なくとも私ならこの理由はありえる。

 

しかし、地獄絵はこれすらも否定されるのだ。

死をもってすら苦難から逃れられないという地獄なのだと思う。

悪いことをしたら地獄に落とされるというのは

日本では(西洋でも?)昔からいわれてきたことだが、

その意味をもう一度考えた時に

その深さに驚かされるのは私だけだろうか?

 

教育やしつけを考えた場合に

理屈抜きに「ダメなものはダメ」ってことがある。

そういう「人としての戒律のようなもの」なんかは

「悪いことをしたら地獄に堕ちるぞ」みたいな教え方もありかもしれないな。