プリペイド

スマホやPCなどのデジタルデータが自分の死後にどうなるのかについていろいろと議論がなされているようだ。昔では考えられなかった心配だろう。

交通系のICカードやコンビニ系のカードなど、事前にお金をチャージして使うICカードがたくさん出回っている。現金がなくても買い物ができたり電車に乗れたりして便利だと思うのだが、これが出回り始めた頃から気になっていることがある。それは、持ち主が亡くなったときに、チャージされた金額を全額回収できないのではないかということだ。まずは、亡くなった人物がどれくらいの種類のプリペイドカードを持っているのか家族が把握しきれていないだろうことは想像に難くない。だとしたら、換金(返金)してもらえない可能性が生じる。また、1円単位の返金には応じないというカードもあるらしいので、全額返金が難しいことも考えられる。ということは、そのお金はどこかの業者が取り込んだままということになる。実際に、家の整理をしたら使いかけのテレフォンカードが大量に出てきたのだが、今後これを使うとも思えないので、支払ったお金に相当する通話ができないこととなるわけで、これは取りも直さず業者の儲けに等しい。これは、プリペイドカードを使用してもらって得られる正規の売り上げとは別の隠された儲けになっているのではないかと思っている。

同じ話を逆から考えてみると面白い。プリペイドカードではないのだが、昔から郵便局では「記念切手」なるものを売り出していた。コレクターが集めて楽しむ目的で売られていたと思うし、実際に有名なものではかなりの高値で取引されたいたはずだ。ただ、今ではその価値も低下しており、有名なものであってもそれほど高値がつかないとも聞く。まあ何にしても、コレクションで集められた切手は全国の家庭の引き出しの奥に大量に溜まっているだろう。さて、これも、前述のプリペイドカードと同様に箪笥の中に眠ったまま出てこないものもあって、それが利益となっていることは十分にあり得るのだが、これらの利益は民営化されるよりはるか前の「郵便局」の儲けであって、現在の日本郵便の儲けではない。ただ、その切手を貼った郵便物は現在でも当然配達されなければならないわけで、もし仮に箪笥の引き出しに眠っている切手が一気に使われ始めたら、実質無収入で郵便物を配達しなければならないこととなるはずだ。切手はゆうパックなどにも使うことができるわけで、眠っている切手が目覚めたときに郵便事業は立ち行かなくなるのではないだろうか。