にごる

「おねだり」問題は、たしかに心情的には訴えやすいかもしれない。テレビでもゴシップ的に取り上げやすいのだろう。でも、これっておそらく大した問題ではない。感情的に許せないかもしれないが、贈収賄などでない限り、物をもらう行為自体を法的には問題にできない可能性が大きいと思う。パワハラ問題もなかなか問題化しづらいし、問題化できたとしてもそれほど大きな問題にはなりにくいと感じる。

対して、公益通報者の問題と優勝パレードに係る補助金の問題は「道義的に問題がある」というような感情論を超える。明確な法律違反である。特に後者の場合、報道されている内容が事実だとすれば、普通に警察・検察が動いて然るべきだろうし(確か東京都民が刑事告発していたはず)、背任罪のような刑事案件となりうる問題だろう。

で、テレビなどではこの両者を同等に取り扱っているように感じる。問題の重みで言えば圧倒的な違いがあるにも拘らずである。これら両者を同じ温度で報道することを武井壮さんはある番組で「にごる」と表現した(この「にごる」の意味をほかの出演者は誰も理解していなかったが)。私も、これらの問題それぞれを同等に”One of them”とすることには反対である。かたや、その人の人格の問題であり、心情的に「気分悪い」だけの問題になる可能性が大きいのに対して、かたや刑事事件にも発展する可能性が大きい事案である。ごっちゃ混ぜにして報道するのは間違えている。