はしもちの研究理念
研究について
卵から成体へと形がつくられる過程で、生きものが生来的に持つ「大ざっぱな物差し」が少しずつ「細かな物差し」となって最終的には生きものの 厳密な形が出来上がります。私たちは、このように生きものの形づくりに潜在する仕組みを、脳の形づくりの研究を通して解き明かそうとしています。 基本的な研究方法として、カエルの頭部を形づくるのに重要な遺伝子の働きを解析しています。例えばある遺伝子は、脳の境界や領域を厳密に規定するの に働 くことが分かりました。また、ある遺伝子は終脳の形成に、別のある遺伝子は前脳の背腹形成に重要であることが分かりました。さらにエネルギー生産に関わる 遺伝子が脳の領域を作るのに重要であることも判明し、脳の形づくりは、様々な仕組みが絶妙に絡み合って成り立っていることが少しずつ明らかとなってきまし た。 もう一つ、形づくりの解明において重要な問題があります。それはゲノムと形の問題です。ゲノムとは、多くの遺伝子が互いに複雑に関係し合って成り立 つ体 系であり、一つや二つの遺伝子の働きを研究し、それらを足し算して解明できるものではありません。ヒトという生物種にも個体差があります。背が高い・手が 長い・頭が大きい・・・数値化すればそれぞれが全く異なる形となるであろう個性がありますが、それら全てを許容して、なお人はヒトなのです。ゲノムが決め る形とは、どこまでこの多様性が許されるのかを規定することではないかと考えています。このような考察を元に、物理や工学の研究手法を導入することも視野 に入れ、形づくりの仕組みを解明することを試みています。ゲノムが形を作ることの意味を真正面から考え始めたいのです。
現在のプロジェクト
- アフリカツメガエルのプラコード形成機構
- アフリカツメガエルの頭部形成におけるP2Y受容体の役割
- ツメガエルとイモリの原腸形成機構の相同と相違
過去のプロジェクト
- ツメガエルの神経堤形成におけるXhairy2の役割
- ツメガエル胚発生の3次元可視化
- ツメガエルの脊索前板形成におけるXhairy2の役割
- ツメガエルの間脳領域化におけるGrouchoの関わり
研究内容につきましてはJT生命誌研究館ホームページ内の研究室紹介からも見ることができます。
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